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古屋レポート
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『れんず屋』代表 古屋 和義
レポート 2014年11月20日『日本の遠近両用累進レンズは35歳』

日本の遠近両用累進レンズは35歳
[遠近両用累進レンズの歴史]


[国産遠近両用レンズの誕生]
1980年 SEIKO が国内初の遠近両用累進レンズを発売
 SEIKO が国内初の遠近両用累進レンズ『P-1レギュラー』を発売しました。世界初の遠近両用累進レンズを発売した「バリラックス」と同じ『左右対称設計』レンズの評判は、厳しかったと言われています。
 それから改良・改善が繰り返され、現在の累進レンズと同じ『左右非対称設計』が作られました。
 この頃、携帯電話の元祖「ショルダーフォン」が登場!映画『マルサの女』(1987年)でも使われています。パソコンは8ビット〜16ビット時代。私も NEC の 8801 9801(16ビット)で遊んでいました。ちなみにこの文章はワープロ「東芝 ルポ」(現役です!)で打ち込んでいます。(若い人には何を言っているか分かるかな??)

[第一世代 1995年〜]この頃が現在の遠近両用累進レンズの普及が始まり。
  外面累進設計 現在の基礎となるレンズが各社から勢ぞろい!
  • SEIKO 『ウイング』(1995年)・・・いまだに現役!(もうすぐ20歳)
  • HOYA 『HOYALUX GP』(1995年)・・・名品!15年のロングセラー。2010年販売終了。お疲れ様でした…
  • Nikon 『ビーダパル』(1997年) 
  • Nikon 『プレシオ i(現在のファーストステップ)』(1999年)
  • 東海光学 『デセオ』『クレス』(1998年)
 遠近両用累進レンズが他の工業製品と異なるのは、今だにこの製品が存在すること!ロングセラーと呼びたいですが本来は淘汰されるのでは…

 一方その頃…
1997年 世界初の内面累進設計レンズが発売!
 またもや SEIKO が世界初の内面累進設計が発売しました。今迄の遠近両用累進レンズは、「外面累進設計」でレンズの表側に累進設計、レンズの内側に乱視補正面を配置してありました。SEIKO は「ユレ・歪み」を抑え「快適な視野を広げる」ために、目に近いレンズの内側に累進設計と乱視補正面を融合させて配置することに挑戦。約3年掛けて内面累進設計レンズの開発に成功しました。慣れにくい外面累進レンズから大きく飛躍!高性能製品の登場です。
  • SEIKO『スーパーP-1』・・・価格は高価ですが『掛けられる遠近』となりました。

 パソコンのOSは Windows95・98 の時代に!

[第二世代]21世紀に突入。これから10年間で多彩なレンズが登場!
2001年 名作 SEIKO『シナジー』発売!
 老舗の眼鏡店なら誰もが認める逸品 SEIKO『シナジー』が発売になりました。今でも現役!販売中のレンズです。
 この年に WindowsXP 登場!

2002年 革新的設計 HOYA『両面複合累進設計 HOYALUX iD』発売!
 レンズの片側だけでなく、両面に累進要素を配置する画期的なアイデアの両面累進設計[BOOM]の誕生。レンズの表側には、主に累進の縦方向要素を配置することで少ない目線移動で手元の見易さを確保。レンズの内側には、主に横方向の要素を配置する事で、ユレ・歪みが少なく広い視野を実現しました。

2004年 両面設計 内面収差フィルター Nikon『プレシオW』登場!
 レンズの内側に「ニコン収差フィルター面」を搭載することで、遠近両用累進レンズ特有のユレ・歪みを可能な限り小さくしています。

 Windowsも WindowsVISTA(2006年)、Windows7(2009年)と次々と発売になりましたが、遠近両用累進レンズも『掛けられる遠近』から『歪まない・慣れられる遠近』への競争・追及が激化、次々と新製品・改良版が発売されました。
  • HOYA『HOYALUX FD』(2006年)→『HOYALUX トリニティー』(2008年)
  • 東海光学『レゾナス シリーズ』(2008年〜)・・・脳科学を取り入れて開発
  • SEIKO『スペリオールP1』(2009年)・・・内面累進設計の最高峰!前傾角考慮
  • SEIKO『パシュート シリーズ』(2010年〜)・・・シナジーの上位版登場


[第三世代の幕開け 2010年〜]
 「快適」な遠近両用累進レンズの設計が出てから10年弱。各レンズメーカーは製品競争を繰り返し、概ね2010年ぐらいまでに「高い設計技術の製品」が登場しました。
第三世代の遠近両用累進レンズとは各メーカーの完成度の高い最高級クラスとしました。
  • HOYA 『HOYALUX MSV(2013年)』『HOYALUX LSV(2012年)』
  • 東海光学『グラナス(2013年)』『レゾナスR マイチューン(2012年)』
  • SEIKO 『パシュートPV(2012年)』『パシュートCV-X(2014年)』
  • Nikon 『シープラウドパワー(2009年)』『プレシオパワー(2009年)』
 HOYA は両面複合累進設計を進化、Nikon SEIKO 東海光学 もレンズの両面に設計を追加し、満足度・完成度の高い製品が出そろいました。しかしながら、どれ程の方がこのクラスを使っているのでしょうか?10%いるのかな?
 一方、欧米では次世代型の遠近両用累進レンズが普及していました…

[第四世代]『次世代型』遠近両用累進レンズの登場
 2013年〜14年に掛けて、「快適性・満足度」を高めるために、個々の情報「お客様の度数」「フレームの装着情報」を元に、一人ひとりにあわせて設計する「individual]フルオーダーメイド遠近両用累進レンズが登場しました。
 多様化したニーズに合わせて、様々な形状のフレームが発売されています。また、同じフレームでも掛けたときの状態は人によって異なります。レンズの性能を出来るだけ引き出すために、お客様一人ひとりの度数・フレーム装着情報に合わせて、設計を最適化する最高峰レンズです。
 「individidual」レンズは、欧米で既に普及している遠近両用累進レンズです。人種が多く骨格がそれぞれ異なるため、フレーム装着時の「角膜頂点距離」「そり角」「前傾角」などがまちまちで、その数値が一定(固定)の累進設計では対応出来ませんでした。また、フレームもフラットなタイプもあれば、カーブの強いタイプもあります。それら様々な条件でも、高性能なレンズ性能を出来るだけ発揮するように対応するレンズが「第四世代」の遠近両用累進レンズです。
 ・HOYA 『HOYALUX RSi』『HOYALUX MSi』
 ・Nikon 『シープラウド ハイパワー』『プレシオ ハイパワー』
 ・SEIKO 『スペリオールPX』
 ・東海光学 『ベルーナ ニューロ グラン』『ベルーナ グラナスMTi』

 2015年に向けて遠近両用累進レンズはどのようになっていくのでしょう?第四世代遠近両用累進レンズの【元年】になればと思います。

[問題提起]『一番使用してもらいたいのは第四世代レンズ』
 このクラスの遠近両用累進レンズは『視野も広く、ユレ・歪みが少なく快適』。しかし『高額なレンズ』!!
 なぜ高額なのでしょう?『10万円以上!購入をためらいます。』『高いから売れない?それとも、売れないから高い?』
 高すぎる!良さがわからない!紹介されない!眼鏡店が売っていない!なぜでしょうか?