ハイカーブレンズの紹介と、ハイカーブレンズを使う特殊形状のフレーム・加工例をご紹介します。
ハイカーブフレームは、加工条件・加工代・見え方などに制限を受けます。
当店では、度付きレンズにする場合の制限・リスク・ご注意などご案内させて頂きます。

【目次】
 T ハイカーブレンズとは?
 U フレームに合ったレンズを選ぼう!
 V ハイカーブレンズの種類・価格
 W ハイカーブレンズの加工
 X ハイカーブレンズQ&A
 Y インナーフレームについて

T ハイカーブレンズとは?
1 プラスチック単焦点レンズの種類
プラスチック単焦点レンズは大きく分けるとには6種類あります。
見え方・レンズの厚み・レンズカーブなどそれぞれ特徴が有ります。

一般的度付きレンズ ハイカーブレンズ
両面非球面 片面非球面 球面 4カーブ 6カーブ 8カーブ
レンズ面のカーブ カーブが強い
薄い レンズの厚さ 厚い
少ない 歪み 多い

2 ハイカーブレンズとは?
ハイカーブレンズとは、レンズ表面のカーブが強いレンズです。カーブのあるフレームに対応し、見た目はカッコよく仕上がりますが、視界の歪みが非常に多く、見え方はオススメできません。(使えない方も大勢いらっしゃいます。)レンズの厚さも厚くなります。
8カーブレンズ断面
表面は平で
周辺の歪みが少ない
表面カーブが少し有り
カーブの有るフレームに最適
周辺に多少ゆがみがある
ハイカーブフレーム対応
レンズ。大きく湾曲している為、歪みが強い
3 ハイカーブレンズの見え方
一般に見え方は悪くなります。 見え方を気にされる方にはお勧めしません。
※ 価格・厚み・見え方 全てにおいてリスク・制限のあるレンズです。
4 ハイカーブレンズでの作成目安
@ 近視(マイナス)度数の方
中度数・強度数の方には、レンズの厚み・見え方の歪みが多くなるため、オススメしていません。

ハイカーブレンズ、近視のお客様の作成度数ごと作成検討目安
作成度数 球面 4カーブ 5カーブ 6カーブ 8カーブ コメント
-3D以内 カーブのある球面設計で対応が出来れば、一番使える可能性があります。
-4D位 × 作成することは可能。歪みが大きく、レンズも厚くなるため、使えない可能性が大きくなります。
-6D以上 × ハイカーブレンズでの作成はオススメしません。歪み、レンズの厚み共に非常に大きくなります。
◎オススメ ○使用可能(※個人差があります。) △作成可能 ×作成自体オススメしない
※見え方については、個人差があります。
※今まで使用しているレンズの設計によっても、見え方・感じ方は変化します。
※フレームカーブ・形状・度数に合わせてレンズを選択します。

A 遠視(プラス)度数の方
プラス度数のレンズは、レンズの表カーブが強い為、度数によっては、通常の球面レンズで対応できる場合もあります。
5 ハイカーブレンズの厚み
レンズの厚みはカーブが強くなるほど厚くなります。また、ハイカーブフレームは、レンズが大きい物が多いため、更にレンズが厚くなります。

【厚み、カーブの一例】
近視度数 -3D、 中心から35mm地点のレンズの厚み(8カーブは偏心加工しています。)
1.60素材
一般的レンズ ハイカーブレンズ
レンズ設計 非球面 球面 4カーブ 6カーブ 8カーブ
レンズイメージ
レンズ表カーブ 2カーブ 3カーブ 4カーブ 6カーブ 8カーブ
レンズ厚(35mm) 4.1mm 4.6mm 4.8mm 5.1mm 5.8mm
歪み 少ない 多い 非常に多い
※レンズ表カーブ、レンズ厚みは計算上の数値です。
※見え方・歪みの感じ方については、個人差があります。
6 フレームのそり角による影響
 
一般的なメガネフレームは目に対してほぼ平行になりますが、ハイカーブフレームの場合は、レンズが眼に対して角度がついてしまいます。この角度のことを「そり角」と呼んでいます。
そり角が強くなると、
 1.視線が外方向にズレます。
 2.横方向の度数を強く感じます。


一部の高性能なハイカーブレンズは、「そり角を考慮して視線のズレ、度数を補正」する事で違和感を少なくしています。
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U フレームにあったレンズを選ぼう!
ハイカーブレンズは、4カーブ 4.75カーブ 6カーブ 8カーブなどあります。
フレームカーブ・フレーム形状・作成度数に合わせてレンズカーブを選択して作成します。

6・8カーブフレーム

*一般的なメガネフレーム(オプティカル枠)は球面・非球面双方に対応出来ます。
*レイバンも一般枠(オプティカル枠)とハイカーブ枠に分類されます。
1 ハイカーブフレーム (オークリーなど)
6カーブから8カーブあるフレーム
球面設計レンズ、非球面設計レンズでは加工不可。
カーブのあるハイカーブレンズを使わないと、フレームの形状が大きく変化してしまう。
フレームカーブ・度数に応じてレンズカーブを選択。
選択レンズ
2 球面設計レンズ向きのフレーム (ミクリ など)
少しレンズカーブのある球面設計レンズ対応フレーム。
非球面設計レンズを入れるには、強制加工が必要。
フレームによってはハイカーブレンズを選択する場合も!
選択レンズ
3 非球面設計レンズ対応フレーム (999.9 など)
周辺部分の歪みが少ない非球面設計レンズに対応した、フレームカーブの浅いフレーム。

※非球面設計、両面非球面設計レンズはレンズカーブが少ない(平ら)なため、カーブのあるフレームには不適合。
選択レンズ
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V ハイカーブレンズの種類・価格
ハイカーブレンズは高額な商品が多いレンズですが、金額の高い高設計レンズを使っても、非球面設計のレンズや、球面設計のレンズよりも見え方が良くはなりません。ご注意下さい!
※側面が歪みます。

※決して見え方は良くありません!!

※ハイカーブレンズに慣れられない方も!!

※強度数(目安として近視度数-4D以上)の方には、厚み・歪み・価格からハイカーブレンズ度付対応をお勧めできません。
ハイカーブレンズの価格表はコチラ!
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W ハイカーブレンズの加工
1 偏心加工
スポーツ用の大きなフレームの場合、レンズのサイズが足りない事もあります。
その場合、レンズの中心をずらす『偏心加工』で対応できる場合があります。
メガネを作成する時には、黒目の中心にレンズの中心を合わせて加工します。
レンズの径(大きさ)は、レンズ・度数ごとに決まっています。
さほど大きくないフレームでは、問題なく加工できます。
ハイカーブフレームなど、大きなフレームでは、黒目の中心にレンズの中心を合わせると、レンズの大きさが足りない場合があります。黒目の中心と、レンズの中心をずらしてしまうと見え方に非常に大きな影響が出る為、このままでは加工できません。
一部のレンズは、レンズを作成する際にレンズの中心を予めずらしてレンズを作成することが可能です。
このレンズ加工を『偏心加工』といいます。

※全てのレンズが『偏心加工』できるわけではありません。
※『偏心加工』出来る量は、レンズ種類、度数などによって変化します。
※非球面設計・両面非球面設計レンズは『偏心加工』出来ません。
偏心したレンズは、ずらした量だけ反対側が広がるので、大きなフレームでも、黒目の中心とレンズの中心を合わせて加工することが出来ます。
必要な『偏心量』は、フレームの大きさ、黒目の位置によって変化します。
『偏心加工』 レンズの大きさが足りない場合に、レンズの光学中心を偏らせる加工
レンズ代金 +¥3,000
2 強制加工
見え方を少しでも良くするために、フレームカーブよりもレンズカーブの浅いレンズを選択する場合や、レンズの負担を最小限にするため、また、フレーム形状の変化を少なくする為に『強制加工』を行います。

@ 5カーブのフレームに、見え方を重視して球面レンズをいれる場合。
度数によっては、強制加工することで、5カーブのフレームに球面設計レンズを入れることが出来ます。

※出来上がりのイメージは少し変わります。
※6〜8カーブのフレームには強制加工しても、フレームの形状が大きく変化するため、球面レンズを入れることは出来ません。
A 8カーブのフレームに、見え方を重視して5カーブのレンズを入れる場合。
少しでも歪みを少なくするために、強制加工することで、8カーブのフレームに5カーブレンズを入れることも出来ます。

※出来上がりのイメージは少し変わります。
強制加工についてはコチラ
3 ステップ加工
ハイカーブフレームの一部は、元々のレンズの厚みが薄いためや、前からの衝撃でレンズが後ろに外れないために、フレームのレンズ受けの後ろ部分が出ているモノがあります。
度付きのレンズを入れる場合、ヤゲンの後ろ部分(フレームにはめ込むレンズの部分)がフレームにあたってしまい、レンズがフレームにはまらないことや、レンズに歪みが発生する場合があります。
ヤゲン部分の後ろを削り込む(ステップ加工)ことで、フレームにレンズをはめることが出来るようになります。
フレームのレンズ受けの後ろ部分が出ていても、度無しレンズの場合(薄いレンズ)問題なくフレームにはまっています。
度付きレンズに交換する場合、レンズに厚みが出るため、レンズの後ろ部分がフレームにあたってしまい、レンズをはめることが出来ません。
レンズの後ろ部分を削り込む(ステップ加工)ことで、フレームにレンズをはめることが出来るようになります。
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X ハイカーブQ&A
@ Q 『出来合いのサングラスを度付きにしたい!』
A オススメしていません!

理由 
※フレーム購入金額に対してレンズ代が高い
一例 8カーブレンズ1.60素材 ¥23,000
偏心加工 ¥3,000
カラー代金 ¥3,000

計¥29,000
※フレーム耐久性や見え方・掛け心地などを考慮すると・・・・オススメできません!

A Q 『商品名・品番・写真を見れば見積りできる?』
A 現品を確認しないと見積もりは出来ません!

理由
実物を拝見させて頂き、度数やフィッティング状態を確認する必要があります。
基本的には加工が可能な場合が多いですが、確約できない場合や、見積り金額が変わることがあります。
※出来るのはハイカーブレンズ概要の金額見積りとなります。

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Y インナーフレームについて
1 ハイカーブ インナータイプフレームのメリット/デメリット
メリット
@ ハイカーブレンズの度付が出来ない強度数の方にも対応
A ハイカーブレンズの違和感の防止→球面設計・非球面設計レンズを使用可能
B 無色在庫レンズでコストを抑える!→予算はハイカーブレンズの約3分の1以下

デメリット
@ レンズが小さいため、レンズの視野が狭い
A こまかいフィッティングが出来ないものが多い
B 見え方の違和感がある場合がある
2 見え方の違和感について
インナータイプは決して見え方が良いものではありません!使える、使えないはかなり個人差があります。
@ 違和感の症状
「側面が揺れる」「見えにくい」
「フワフワする」「遠近感が変わる」
「慣れられない」「掛けられない」
A 違和感の原因として考えられるものと解決策

○フレームの構造・フィッティングの要因

a.眼とレンズ面の角度
調整前 調整後
フレームカーブがあるため、インナーフレームのレンズも、顔に対してハの字型になるため、歪んで見える。 顔に対して、適切な角度にすることで、見え方が改善する。

b.眼とレンズまでの距離(角膜頂点距離)
調整前 調整後
眼から、レンズまでの距離が離れていると、周辺部の歪みを感じやすくなる。 眼からの距離を近く(適切な距離)すると見え方が改善する。

c.眼とレンズの傾斜角度(前傾角)
調整前 調整後
眼に対するレンズの角度が弱いため、見え方が悪くなっている。 眼に対するレンズの角度を適切にすることで、見え方が改善する。

d.前面のサングラスレンズのカーブに違和感を感じる場合
大きくカーブしているレンズの場合、度無しのレンズでも、歪みを感じることがあります。

○レンズの要因

e.レンズの選択 
非球面設計 弱度数の球面設計・4〜5カーブ
レンズが平らなため、顔に対して、ハの字型になることが多く、見え方が歪みやすい。また、前面のサングラスレンズにインナーレンズが当たることもあります。 カーブのある弱度数の球面設計レンズや、4〜5カーブのレンズを使用すると、顔に沿った形になり、フレームの納まりは良くなります。しかし、レンズ設計による歪みを感じます。

f.レンズ度数・瞳孔間距離(PD)・アイポイント・加工方法など
 個々の事例・個人差などで、原因と解決方法が異なります。

B フレーム調整の問題点

a.調整が可能な構造であるか?
b.前面のサングラスレンズに当たらないか?
c.何処まで調整が可能であるか?

破損の可能性や見栄えの変化・前面レンズとの接触具合など、フレームの構造・状態で調整できる範囲は制限されます。
C フレーム調整の効果

a.個人差はありますが、改善して使える様になった方も大勢いらっしゃいます。
 *特に度数の強い方は掛け具合に大きく影響を受けます。
b.レンズの変更よりも効果があると思われます。
 *レンズ自体に大きな問題・原因がない場合、フィッティング・調整などで改善できない時には、レンズを変更しても改善できる可能性は低いと思われます。
c.問題は調整可能なフレームの構造であるかによります。
 *ご購入時に、この点も選択基準にして下さい。
3 インナータイプのレンズ選択について
@ 通常のインナーの場合(眼に対して水平であるもの)
 *非球面設計・球面設計レンズどちらも選択可能です。
 *一般的には、インナーレンズは小さい玉型の為、薄型素材の高屈折レンズは不要です。
A インナーフレームがカーブしているタイプの場合
 *非球面レンズではレンズ面が眼に対して斜めになる為、球面設計レンズまたは、強度数の場合には4〜5カーブのレンズをオススメすることもあります。

<注>*4〜5カーブのレンズ自体に違和感を感じる可能性もあります。
   *遠近両用レンズは、特に違和感が強く出る場合があります。
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