メガネレンズが出来るまで!(日本レンズ)
一般的にあまり知られていない、メガネレンズの製造過程。
大阪府岸和田にある、老舗レンズメーカーの「日本レンズ」がその工程を特別に公開して下さいました。
毎日使う眼の前にあるメガネレンズにもっと勉強してみませんか?
このページでは特注レンズ・カラーレンズ(業界用語で研磨品と言います)をご紹介します。
※画像によって、マウスを合わせて頂くと、製造工程時のレンズが見れます。
だんじり祭りで有名な大阪の岸和田にある本社兼事務所です。
右の看板を見て頂ければお分かり頂けると思いますが、昭和10年創業の歴史を感じます。
年季が入っていて、イイ意味で味が出ていて、シブいです。
「セミ品」(※1)と言うるレンズの元になる基材の裏面を削り、カーブを付ける事によって指定度数を作ります。
表カーブは「セミ品」の状態で、既に仕上がっています。(表は削らず、裏面のみ削って作製します。)
荒削りしたレンズの裏面を「研磨パット」(※2)を使用して、水をかけながら磨き、より細かく面を整えていきます。
スムージング@の拡大画像です。
スムージング後のレンズは、真っ白な状態です。
「スムージング」したレンズの裏面を「研磨粉」(※3)と「研磨パット」(※4)でさらに細かく磨き、鏡面状態(ピカピカの透明な状態)まで仕上げます。以上で研磨が完了です。
左の画像を見て、なにか不思議に思いませんか?
カラー染色に関しては、全て手作業になります。
こんなに技術力が発達しても、機械ではできません。
最初から決められた色を作っておき、毎日同じ時間に
染色作業をすればいいのに・・・

と、私達も思うところはたくさんありますが、
大きく分けて、理由は以下の通りようです。
●プラスチックレンズは素材が樹脂→レンズ個々によって生地の状態が全て微妙に異なっており(生産された時期 、熱硬化の掛かり具合等の影響)、同じ工程で染色しても色の染まり具合が微妙に異なります。
●染色剤の濃度も作業開始と終わり頃では少し変わってきます。
●レンズ種類によっても、色が染まりやすい素材と染まりにくい素材がある。
●色によってはマルチ加工等により若干色味が変わる場合もあるので、それも考慮しなければいけない。
  まさに、
「ザ・職人」の世界です。

ハードコート処理の際には、異物混入などへの「目視検査」や手作業による「汚れ拭き取り」など、人の目と手による品質安定・向上に時間をかけています。

ハードコートの処理時間は約5分程度ですが、密着性の向上などの為の前処理と後処理を加えるとやく2時間半もかかります。 (熱を加える硬化処理等...)
UFOのように見える左の画像はレンズを乗せる「ドーム」と呼ばれるもので、ここにレンズを並べます。
右の画像はマルチコートの真空蒸着
(※5)が行われている状態です。
マルチコート処理は、この機械の中で行われています。
ちなみに、マルチコートとはレンズ表裏の不要な光の反射を防ぐコーティング処理をすることによって、透明感の高いレンズに仕上げる事ができるコーティングです。
研磨が済んだレンズは上記のような入れ物に入れて、
コートや袋詰めの工程へと廻ります。
全てのレンズは熟練者による厳しい品質チェックの上で
皆様にお届けします。(画像は1.74非球面撥水コート)
T.荒削り〜ポリッシング・・・約30分〜1時間
U.荒削り〜マルチコート処理・・・約5時間30分〜約6時間
  (ハードコート自体は約5分、マルチコートは表裏で50分ですが、その他の処理に時間が必要になります。)
V.荒削り〜染色〜マルチコート処理・・・約7時間〜約9時間
  (染色自体は約1〜60分位。濃度や全面染色・ハーフ染色・レンズ素材で異なります。)
 
※1 「モールド」と呼ばれる型に「モノマー」と呼ばれる原材料を流し込み成型した状態。セミフィニッシュレンズ。
※2 極めて細かい紙ヤスリのようなもの
※3 非常に細かい研磨剤を含む液体。 かなりアバウトですが、歯磨き粉のようなイメージでしょうか。
※4 ※2と同じ名称ですが、※2よりも布に近い、より柔らかなもの。
※5 真空状態の中で、マルチコートの材質であるSio2(二酸化ケイ素)などの物質に電子ビーム等で、
   原子状態にして飛ばしレンズ表面に付着させます。

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