3章 単焦点レンズ 〜中間度数設定〜
単焦点レンズとは?

●一般的な近視・遠視・乱視・老眼など遠くや近くのものを見るためのレンズ。
●焦点(見る距離)がひとつ(1点)なので単焦点。
●遠近両用レンズと区別します。


1 パソコン専用の度数設定とは?
1 パソコンモニターを長時間見ていると疲れる原因は?
最も遠くが見えるメガネ(完全矯正値のメガネ)は、5m〜無限遠方にピントが合っています。
完全矯正値のメガネの見え方
そのメガネで、近くのものを見るときは、眼の力(調節力)を使って、近くの物にピントを合わせています。そのため、パソコンを長時間使う(パソコンモニターを見るために眼の力を使ってピントをあわせている状態)と目の疲れ(調節性眼精疲労)が起こります。

例えば、このときに50pの距離にあるモニターを見る場合に必要な調節力は、

レンズの公式 50pのモニターを見る調節力
モニターを見ている間、2(D)の調節力を使い続けなければいけないため、眼の疲れが起こります。
長時間のパソコン作業で疲れる原因は『眼の調節力の酷使・疲労』です。

2 パソコン用メガネの発想
●パソコン使用時の疲れを軽減したい!
●遠くのものが見える必要はない!
●近くのもの(パソコンモニター)が見えればいい!
パソコン用メガネの見え方イメージ
パソコン用メガネとして、近方距離にピントを合わせたメガネは、近くのものを見るときに使う眼の力(調節力)が少なくなります。そのため、眼の力を使うことによる『調節性眼精疲労が軽減』されます。

簡単に言うと、『近視の眼の状態(近くが見える眼)』にします。
例えば、メガネの度数を最も遠くが見える度数(完全矯正値)から3段階ほど、近くにピントを合わせたとします。このメガネでの遠点(遠くのピントが合う距離)は、
3段弱いメガネの遠点
このメガネは、1m33cmまでクッキリと見えて、それより先はだんだんとボヤけていきます。

モニターを見る時に使う眼の力が、最も遠くが見えるメガネと比べて、少なくなるため、長時間のパソコン作業での眼精疲労が軽減されます。
パソコン用単焦点メガネの特徴
●室内・モニター重視の中間距離度数設定。
●眼の使う力(調節力)を軽減して眼精疲労予防
●単焦点レンズですので、遠くも近くも見やすくすることは出来ません。
※遠くも近くも重視される方は、アシスト設計レンズを!!
車の運転や遠くがよく見える事を考慮した度数の設定ではなく中間距離(パソコン)が見やすくなる事を実感と数値で考えながら度数を決めていくレンズです。
『実際の見え方・ご希望・目的を第一に考えます!』


2 近視の方の度数設定
1 中度近視の方のパソコン用単焦点メガネの一例
中度近視の方の一例です。
中度近視 完全矯正値

この方の場合、メガネを掛けないでクッキリ見える距離は、
中度近視 裸眼での遠点
裸眼で33p以内は見えますが50pのモニターは見えません!
※顔をモニターに近づけると見えます。
中度近視 裸眼での見え方イメージ
最も遠くが見えるメガネを掛けた時、50pの距離でモニターを見る場合の必要調節力は、
完全矯正値のメガネでの必要調節力
2.00Dの調節力を使い続けなければいけません!
では、パソコン用のメガネとしてどのような度数がいいのでしょうか?

色々な度数でメガネを作製した時の見え方のイメージです。
メガネレンズの
度数
遠くの見え方
(視力例)
50cmのモニターを
見るときに必要な調節力
−3.00D
完全矯正値
視力:1.2
遠方視最高
2.00D
ー2.75D
1段弱い度数
視力:1.0
遠方視重視
1.75D
ー2.50D
2段弱い度数
視力0.8
バランス重視
1.50D
−2.25D
3段弱い度数
視力0.7
中間距離重視
1.25D
−2.00D
4段弱い度数
視力0.6
室内専用
1.00D
※見え方・疲労の感じ方には個人差があります。

2 近視の方の中間度数設定の目安
近視の方のパソコン用メガネは『完全矯正値よりも弱い度数のメガネ』になります。
弱度近視の方
(−3.00D位まで)
完全矯正値よりも1〜3段弱くつくる。
中度近視の方
(−3.00D〜ー5.00D位)
完全矯正値よりも2〜4段弱くつくる。
強度近視の方
(−5.00D以上)
完全矯正値よりも4段以上弱くつくる。
あくまで目安になります。パソコンを使用するときの環境(どのぐらいまで遠くを見たいか?など)によって、出来るだけ快適なパソコン用度数を決めていきます。
※注意!!当然、専用度数では遠くが見えないパソコン専用メガネになります。


3 遠視・正視の方の度数設定
1 正視・遠視の方でメガネを掛けていない方
裸眼で充分に遠くが見える方の場合には、パソコン作業中は常に調節力を酷使した状態です。眼精疲労なども起こりやすいですが、メガネ自体に抵抗感がある方が多くいます。
最初は、2〜3段階の弱めのプラスレンズをお試し下さい!

度数は、+0.25D〜+0.50D/+0.75D〜+1.00D。
視力測定して、バランスを取りますが、初めてのメガネでしたら、ほぼ+0.50D/+0.75Dのどちらか位の度数で、充分に楽で快適になります。
まずは見え方の体験をオススメします!

2 遠視の方でメガネをお使いの方の一例
まず、お使いのメガネが充分に遠視を補正しているか確認します。
遠視の方の場合 → 出来るだけ完全矯正値に近い強い度数設定。

遠視の方の一例です。
遠視の方一例 完全矯正値

この方が、50pのモニターを見る場合の必要調節力は、
遠視の方一例 完全矯正値での調節力
遠視の方一例 裸眼での調節力
裸眼では、4.00Dの調節力を使い続けなければいけません!

色々な度数でメガネを作製した時の見え方のイメージです。
メガネレンズの
度数
遠くを見るときの
必要調節力
50cmのモニターを
見るときに必要な調節力
−0.00D
裸眼
2.00D 4.00D
常に疲れやすい、見えない
+1.50D
2段弱い度数
0.50D
遠方重視
2.00D
疲れやすい、見づらい
+2.00D
完全矯正値
0.00D
遠方重視バランス
1.50D
近方視は疲れる
+2.50D
2段強い度数
0.00D
中間距離重視・遠方は×
1.25D
近方視は楽になる
※見え方・疲労の感じ方には個人差があります。

3 遠視の方の中間度数設定の目安
遠視の方のパソコン用メガネは『完全矯正値よりも強いプラス度数のメガネ』になります。
正視の方、
遠視の方でメガネを掛けていない方
2〜3段の弱めのプラス度数メガネ。
遠視の方でメガネを使用している方 最低でも完全矯正値のメガネ。
完全矯正値よりも強いめメガネ。
※遠くを見るときに違和感があっても、完全矯正値の度数は必須になります。


4 この様な方へ
1 パソコン用単焦点レンズは一番安くて効果的!
単焦点レンズでパソコン用メガネをつくることは、最も経済的で、最も効果が期待できます!
※高いレンズを選ぶ必要はありません。
 ●1日4時間以上パソコンをされる方
 ●眼の疲れを感じている方
遠くを見るメガネや、裸眼での長時間のパソコン作業で、眼は酷使され続けています!

2 まぶしさなどと感じる方
『ブルーライトカットレンズ』『ネッツペックコート』などのまぶしさを和らげるレンズとの組み合わせも可能です。
※まぶしさを和らげるレンズも、パソコン用の度数設定にしないと十分な効果は得られません!