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T レンズの『歪み』ってなあに?
U レンズの加工サイズについて
V フレームの形状とレンズカーブについて
W 偏光レンズの『歪み』について
X 『歪み』の増加とご注意
Y お客様・同業者の方へ れんず屋代表 古屋 和義

T レンズの『歪み』ってなあに? このページのトップに戻る

1 メガネフレーム枠にメガネレンズを加工した際に発生するメガネレンズの歪み
 
無色の眼鏡用レンズ。

通常の状態では歪みを確認することは出来ません。
歪み計を透してみた、無色レンズの歪み

黒く見える部分が歪み

※この画像は分かりやすくする為、故意に歪みを入れたものです。

通常時の偏光レンズ

通常の状態では歪みを確認することが出来ません。
パソコンモニターの前においた偏光レンズ

黒く見える部分が歪み

※この画像は分かりやすくする為、故意に歪みを入れたものです。

2 光学性能を損なうだけでなく、レンズにクラック(ヒビ割れ)を起こし、
  レンズの寿命を短くします。


初期クラック拡大写真

細かいミゾに見える部分がクラック(ヒビ割れ)。フレームからの圧力による歪みや、熱によるダメージにより発生します。

* レンズの変形から見え方が低下して、眼精疲労などを起こすことも


3 歪みを起こす原因は?

@ レンズの加工サイズが大きい。

A 加工時の形状が合っていない。

B フレームカーブとレンズカーブが合っていない。

C 熱などを加え、レンズが膨張した時。

D フレームを曲げたりした時の応力から発生。


4 これだけは知ってほしい事

@ フルメタルで、レンズに歪みを無くす様に加工をすると緩くてすぐに取れる事も!
パソコンモニターの前でも『歪み』がない状態の偏光レンズ

フレームからの圧力がないように、レンズを小さめに加工。
フレームからの圧力がない為、レンズを軽く押しただけですぐに外れてしまいます。

A 普段の使用でも徐々に温度変化の膨張や応力から『歪み』が増加していく事
日常の温度変化でも、僅かにレンズが膨張・収縮を繰り返しています。
レンズが膨張すると、フレームからの圧力が増し、『歪み』が発生、増加します。

B わずかな『歪み』なら特に光学的には問題ないと思われている事

C 厳密にはほぼ全てのフルリム枠には『歪み』が入っています。

D 『歪み』を一切無くすにはナイロール枠がオススメ。ガラスレンズでは『歪み』が発生しません。
    (ガラスレンズの場合には、歪むほど圧力が高まると破損するので小さめに加工します。)
ナイロール枠
偏光板で歪みが確認できない。

E 偏光レンズは『歪み』が目立ちやすく、デリケートな製品

U レンズの加工サイズについて このページのトップに戻る

1 技術者・製作者の主観で決まるの????

@ メガネの加工サイズの確定は、歪みをを起こさず、且つレンズが外れない様に決めなければなりませんが、その確定は主観です。

A レンズサイズを小さくすると『歪み』は少なくなりますが外れやすくなり、レンズサイズを大きくすると『歪み』は強くなります。

B 店の方針、技術者の主観はバラバラなのが実情です。

 
2 『歪み』を無くす様に小さく削る場合

@ 『歪み』が少なくなるのがメリット

A 拭く際に緩みを感じる(ガタガタする)

B 乱視軸がズレる場合も
レンズが緩いため、レンズが回転する。
その為、使用しているうちに、乱視軸がズレて見え方が低下する場合がある。

C レンズのきしむ音が出る事も

3 多少大きく削る場合

@ 『小さい』『音がする』『隙間がある』などのクレームは少なくなります。

A 当然、『歪み』の増加は起こります。
少し大きめに削った偏光レンズをパソコン画面の前においた時
レンズが動いたり、フレームとの隙間などはない状態。
当然、『歪み』は多く入っています。

B 『歪み』はお客様はほとんど気付きませんが、『緩み』や『音』はすぐに分かる為、クレームになる事も
上記Aの『歪み』が多い偏光レンズを白い紙の前においた状態。
『歪み』を確認しやすい偏光レンズでも、通常の状態(液晶画面の前や、鏡の前ではない時)では、『歪み』が確認できません。

このクレームを防止する為に『歪み』を犠牲にする事も!
本当にこれが正しいことになるのでしょうか????


4 『れんず屋』での加工基準・・・『小さめ』


@ れんず屋で加工サイズを確定する際には、『歪み』の減少を優先しますので、小さく加工する事があります。

A キシミの音や、ガタツキなどを防止する為、コーキングなどする事もありますがご了承下さい。

B 全く『歪み』を無くす様な加工依頼はフルメタル枠の場合にはお受けできない事があります。
    (ご要望にはお答えします。)
     ※レンズの脱落防止
     ※軸ズレ防止
    の観点からジェルパッキン・コーキング剤の使用などのご了承を頂きます。

C 『歪み』を防止する為、強制モードにてヤゲンカーブをフレームカーブに合わせる場合、加工の際に、見栄えが変わることもあります。
 フレームのカーブと、レンズのカーブが合わない場合、レンズに負担が増えるため、レンズの『歪み』が増えます。強制加工とは、レンズをフレームに入れる際に作る「ヤゲン」を極力、フレームカーブに合わせて加工する方法です。
 この加工を施す事により、レンズカーブとフレームカーブの差が少なくなり、フレームの影響によるレンズの負担が減ります。また、フレームの形状の変化も少なく仕上がります。
※フレームカーブとレンズカーブの差が極端にある場合は、強制加工をしてもレンズの負担があまり減らず、また、フレームの形状が変化します。
レンズをフレームに固定(はめ込む)するための突起部分の事です。
通常加工で加工した場合。
レンズが前に出ることはありませんが、フレームカーブとレンズカーブの差から、フレームの形状が少し平らになり、レンズへの負担も大きい。
強制加工でレンズカーブとフレームカーブを合わせた場合。
レンズは少し前に出るが、フレーム形状の変化がなく、レンズの負担も少ない。
極端な強制加工例。
フレームの形状(この場合は、フレームカーブがかなり強い)を変化させず、レンズの負担を少なく加工。
レンズがかなり前に飛び出る為、見た目の印象がかなり変化する。

※分かり易くする為、極端に加工してあります。

V フレームの形状とレンズカーブについて このページのトップに戻る

1 『歪み』が起こりやすい枠について

@ 横長や角張っているデザインではその部分に応力が発生しやすく歪みが起こりやすくなります。
角の部分に
特に『歪み』が出やすい。

A 一枚のチタン枠など、堅牢な仕様のもの
 
フレームが硬いため、フレーム形状を換える事ができず、レンズカーブとフレームカーブに差が多い場合強制加工をしても、レンズにかなりの負担がかかります。また、固定の圧力が分散しない為、圧力が1点にかかりやすく『歪み』が出やすくなります。


2 『歪み』の起こりにくい枠について

B セル枠や丸いデザインのタイプはレンズ固定の圧力が分散する為、比較的『歪み』が出にくくなります。
丸いデザインのフレームは、レンズ固定の圧力が分散する為、『歪み』が出にくい。
セルフレームは、素材がやわらかい為、レンズへの圧力が分散しやすい。


3 フレームカーブとレンズカーブの相性

@ フレームの形状として、カーブしたものや直線的なものがあります。

※ カーブした枠・・・・『球面設計』『ハイカーブ』レンズ推奨
※ 直線的な枠・・・・『非球面設計』レンズ推奨
ダミーレンズカーブ 2.5カーブ

『非球面設計』レンズ推奨
偏光レンズなど、カーブの強いレンズを入れる場合には、
フレーム形状を変化させる必要有。
ダミーレンズカーブ 5.0カーブ

『球面設計』レンズ推奨
非球面設計レンズでも作成可能。但し、フレームカーブが少し浅くなる為、フレームの印象が変化する。
ダミーレンズカーブ 7.5カーブ

『ハイカーブ』レンズ推奨
度数により球面設計レンズでも作成は可能だが、印象は大きく変わる。ハイカーブレンズを使用すると、フレーム形状は保持できるが、見え方は落ちる。
※カーブの強いレンズになるほど、周辺部の見え方が歪みます。

A 多少は強制加工で合わせますが、双方のカーブが大きく異なると歪みが出やすい状態に成ります。
 (使用中に増加します。)
偏光レンズのカーブに合わせて、
フレームを調整した状態。
左側 未調整 カーブが浅い 右側 調整済 カーブを深く

B 相性の良いレンズのご選択をご提案します。

W 偏光レンズの『歪み』について このページのトップに戻る

1 偏光レンズは『歪み』に弱いデリケートなレンズです。


@ ほんの僅かな圧力で『歪み』が発生し、偏光膜の性能を低下させます。

A 完全に『歪み』を取り除こうとすると、そのままではご使用出来ない位に小さくなって緩くなる事も

B 結論ですが、最小限に『歪み』は入ってしまう事。
  更に『歪み』を少なくする為に、ジェルパッキンなどでコーキングする事や、多少の動きはご了承下さい。


2 各種フレームについて

@ ツーポイントフレームの場合
   ※ レンズの穴あけ・押さえの部分には『歪み』は必ず発生します。
ネジ・レンズ止め部分のみでレンズを固定する為、固定する部分には必ず『歪み』が発生します。


A ナイロール枠
   ※ 偏光膜の破損防止の為、対応は出来ません。
偏光レンズは、偏光膜をレンズとレンズの間に挟みこんでいます。
ナイロールのレンズは、レンズ側面にミゾを掘ってナイロンの糸でフレームにレンズを固定します。
ミゾの位置によっては、偏光膜の破損、レンズの剥離などがおきるため、れんず屋ではナイロール枠に偏光レンズの加工は受けていません。
ミゾを掘る加工時に傷ついた偏光膜。

白くなっている部分が、傷ついた部分です。


B 角ばっている枠など
   ※ 鋭角な部分などでは、多少、『歪み』が出やすくなります。


C フラットなフレーム(非球面対応フレーム)
 ※ 偏光レンズは球面設計の為、フラットな形状のフレームの場合には『歪み』が非常に強く出ます。出来る限り、球面対応のフレームをお選び下さい。

X 『歪み』の増加とご注意 このページのトップに戻る

1 日常の使用でもレンズは膨張と収縮を通じて多少ですが『歪み』が強くなってきます。
   特に、高温にさらした場合には使用できなくなるほどに悪化する場合があります


2 一度、強くはいった『歪み』は取り除くことは出来ません。
熱などのダメージを受けたレンズ
偏光板を透してみると、『歪み』がレンズ自体に残っていることが分かります。

※黒くなっている部分が『歪み』


3 どこまでの『歪み』までが許容??

  * 明確な基準はありません。 多少の範囲でしたら問題はないと思っています。

  * 『歪み』がメガネの中心部分まではいったり、強い場合には交換か、小さく再加工することをオススメします。


4 無くす方法は

  * 『手擦り加工』などで少なくする事は出来ます。

  * 強く歪んだものは、完全に元に戻らない事があります。

  * フルリム枠の場合には通常、多少の『歪み』は許容と思いください。


5 歪みを見る方法は


  * 2枚の水平に置いた偏光板の間に挟むと見る事が出来ます。

  * 偏光レンズの場合にはパソコンのモニターなどで確認できますが、
   この方法の場合、ほぼ全ての偏光レンズに『歪み』を見る事が出来ます。
   (過剰にお考えなくても大丈夫だと思います。)


6 気になる方は

  * ナイロール枠・ツーポイント枠などをお選び下さい。


7 当店では

 最近では、デザイン性の高いフレームが多くなり、一部の製品はフレーム形状から『歪み』が出やすいものがあります。
 最小限に抑える試みはしますが、レンズの脱落・緩み・きしむ音・隙などのリスクも高まります。また、ジェルパッキン等のコーキング処理の実施については、加工の失敗の様にも思われますし、ご心配を掛けない為、事前に説明しないこともあります。
(『れんず屋』では、ガラスレンズは破損防止の観点から、全てに実施します。)
 『歪み』の発生許容の基準が明確ではありませんが、気持ち小さめを意識しながらカーブを合わせて加工し可能な限り、『歪み』を最小限に押さえていきたいと思っています。見えないことですが大きな問題(大切な事)と思ってご対応しております。

Y お客様・同業者の方へ このページのトップに戻る
『歪み』の問題はいたずらにメガネレンズに対する不信感を無くす為、業界内でもほとんど公開されていない情報です。
現状は
見えない『歪み』知られていない
良かれと思って『コーキング処理』
薄さの追求 非球面・両面非球面
VS
感じる『ガタツキ』『きしみ音』
加工ミスと思う消費者
デザイン重視のカーブしたフレーム

[知ることで発生する問題点]
過剰に反応する消費者
 *クレーム・再加工・キャンセルの希望

[消費者が知らない事で起こる問題点]
気に留めないで加工する眼鏡店
 *説明不足 レンズ選択・加工方法に注意を払わない

目に見えない大きな問題が『歪み』です。

しかしながら

『れんず屋』は特別な加工を専門にするお店ではありません!
*『歪みの全くない加工の依頼』
*『他店でのご購入品に対する調査・コメント』
*『どの程度が歪みの基準か?問題ないか?』 など
この様なご依頼・ご質問はお断りさせて頂きます。


このページに載せた情報は『れんず屋』の基準と私の個人見解です。
決して業界での基準・認められたものではありません。

より良く・安心したメガネをお使い頂ける様に情報を公開していきたいと思います。

『れんず屋』代表 古屋 和義

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