使ってみよう分光透過率計!
分光透過率とは?
プリズムによる分光

『レンズが光をどの位通すのか(透過率)』を調べる機械です。

光は、人が感じることのできる光(可視光線)以外にも、紫外線、赤外線などを含み、すべて、波の性質を持っています。
可視光線(人が感じることのできる光)は、大きく7色に分けることができます。
例えば、左の図のように、ガラスでできた三角柱の「プリズム」に目に見える光を通すと、さまざまな色の光を見ることが出来ます。この色は紫・藍・青・緑・黄・橙・赤へと連続的に変化しています。

波長の大きさの違いによる色の違い

可視光線の色のちがいは、その波の大きさ(波長)の違いによるものです。光を、波の大きさ(波長)ごとに分けることを、「分光」と言います。
分光透過率計(TOPCON TM-2)は「分光」された光ごと(280nm〜780nmの波長で5nmごと)の透過率を測ることができます。
分光透過率とは?

分光透過率の一例

可視光線・紫外線・赤外線を分光し、『各波長の透過率』を表したものです。
その波長の光を全て通す時は、100%になります。透過率が10%の時は、その波長の光はレンズで90%カットされ、10%だけ通ります。  
上の図は、縦軸が光の透過率を、横軸が、波長の長さを表しています。白いグラフ線が、各波長の透過率になります。 
波長550nm付近(緑色の光)の透過率は約90%になっています。このレンズは、緑色の光線を約10%カットします。



ためしてガッテン!分光透過率計!
れんず屋神保町店に『分光透過率計』は有ります。
れんず屋『神保町店』入り口写真 地下鉄「神保町駅」から徒歩2分のところに、
『れんず屋神保町店』はあります。
メガネレンズの専門店です。
レンズ交換専門店のため、メガネフレームの販売はしていません。
れんず屋神保町店 店内風景1 分光透過率計のご案内をさせていただきます、
神保町店の「近藤」です。
メガネレンズのショールームとして、様々なレンズの見本を展示しています
れんず屋神保町店 店内風景2 れんず屋神保町店 店内風景3 れんず屋神保町店 店内風景4 れんず屋神保町店 店内風景5
分光透過率計 TOPCOM TM-2 これが分光透過率計です。
レンズの分光透過率を測定する機械と、データを表示するパソコンの組み合わせです
TM-2本体 分光透過率画面


使って見よう分光透過率計!
れんず屋スタッフのサングラスを見てみましょう! それでは分光透過率計を使って、れんず屋スタッフのメガネを測って見ましょう。
スタッフが使用しているメガネは、カラーが、グレー70%全面染色のメガネです。
グレー系のカラーは、色調をあまり変化させず、光をカットするので、見え方が自然です。サングラスの色としてよく使われます。
スタッフ「私は、主にドライブの時使っています!濃い色ですが、違和感がない見え方が気に入っています。夕方や曇りの日は、暗くなりすぎて掛けませんが、晴れた日のドライブに重宝しています。」
分光透過率計本体に測定するレンズをセットします。 では早速、分光透過率計を使って、グレー70%の特徴を見てみましょう!
まず、分光透過率計にレンズをはさみます。
メガネをセット中! セット完了!
分効透過率測定ボタンを押します! 緑のボタンを押すと、光が出ます! ピカ〜!
これで、レンズの分光透過率が測れました。
ボタンを押しました! ピッカ!と光って測定完了!
分光透過率表『グレー70%』 パソコン画面を見ると、赤いグラフと、数値が出てきています。
これが、グレー70%の分光透過率データになります。


分光透過率を見てみよう!
それでは、詳しく表を見て行きましょう!
画面に出てきた、数値、赤線のグラフが、使用しているカラーレンズ(グレー70%)のデータになります。
分光透過率表『グレー70%』
分光透過率表の見方! まず、緑で囲ってある@の部分を見てください。
この部分は、グレーカラーの透過データを数値で表しています。

スタッフ「『UV-B』・『UV-A』は紫外線のことですね?」

そうです、この欄は紫外線のUV-B・UV-Aをどのくらいカットしているのかが分かります。
数値がゼロに近づくほど紫外線をカットする割合が高くなります。

スタッフ「このレンズには、紫外線カットの『UV400』が付いているはずですけど?100%ではないですね!」
紫外線の透過率数値 あくまでも透過率を確認する為の測定機なので、検査専用の測定機データとは誤差が生じます。
この測定機では信頼度100%のデータを表示することは出来ません。同じ条件でのデータの比較用と思ってください。
今回のデータでもほぼ100%紫外線をカットしています。
UV400付きのレンズなら、有害な紫外線は100%カットしているはずです。安心して下さい!

スタッフ
「解りました!」

スタッフ「紫外線の欄の右にある『Visible』は何ですか?」

これは視感透過率と言い、レンズが目に見える光(可視光線)をどれぐらい通すのかを表しています。
数値が100%に近づくほど光を通す量が多くなります。

スタッフ
「私のレンズ視感透過率32%だから、68%の光をカットしていますね。なるほど、32%しか光を通さなくなるのだから、夕方や曇りの日は、暗く感じるのも納得です。」
「レンズの透明度」のカテゴリー表示 Aの『Category(カテゴリー)』について説明しましょう。
レンズにはJIS規格(日本規格協会)により、レンズの「透過特性(透明度)」について、データの付記が必要になります。
付記が必要なデータは「分類・運転不適合性・カテゴリー」の3項目です。

分類      カラーレンズの染色方法(無色・前面染色・ハーフ染色)
運転不適合性  昼間や夜間の運転に不適合な場合にのみ付記
カテゴリー   レンズの視感透過率を0から4の数字で表記
その1つ「カテゴリー」の分類される数字を測定します。
「カテゴリー」は視感透過率の割合により5つに分けられます


レンズのカテゴリー表記の一例
カテゴリー 視感透過率
0 80.0%を越え 100%以下
1 43.0%を越え80.0%以下
2 18.0%を越え43.0%以下
3 8.0%を越え18.0%以下
4 3.0%を越え 8.0%以下
スタッフのレンズは視感透過率が32%だから「カテゴリー2」です。

スタッフ「このレンズを購入した時に、レンズ袋にカテゴリーの記載がありました。」

無色のレンズや薄いカラーはカテゴリー0から1、濃いカラーレンズはカテゴリー2から4の数字で記載されます。

スタッフ「『CIE』」には数値(B)とグラフ(C)があります。」
CIE色数値・グラフ これは色度座標グラフです。
X・Y座標を用いて色合いを数値で表しています。
色合いを数値で表すことで、同じような色合いのカラーレンズと比べる時に、色合いの違いが分かりやすくなります。

スタッフ「感覚だけだと色の違いの判別が曖昧になるので、数値で比べられるとより違いが分かりやすくなりますね。」 
運転適正判別ウインドウ Dの部分は、運転適正判別ウィンドウです。
国際規格によりレンズには定められた規格があります。(Aの部分)

Visible>3% メガネレンズは、視感透過率が3%を超えなければいけない。
Visible>8% 車の運転に使用する場合は、視感透過率が8%を超えなければいけない。
T≧0.2Visible 感度の良いといわれている波長(500〜650nm)の分光透過率の最低値が、視感透過率×0.2以上でなければいけない。
Visible≧75% 夜間や薄暗い場所での運転に視感透過率が75%以上でなければいけない。


レンズが、上記の規定を満たしているかを判定しています。

また、車の運転には信号の色が分かる事が必要です。
色を識別する為に定められた規格があります。
Bの部分で、各色(赤・黄・緑・青)を識別出来るか判定しています。

適合の場合は、『緑色
』、不適合の場合は、『赤色』で判定されます。

Cの部分で、A、Bの結果から、測定したレンズの運転判定結果が出ます。
  
 
スタッフ「私のレンズは夜間の運転(『Visible≧75%』)が赤の不適合と判定されました。そのため、夜間の運転に不適合と判定されています。昼間の運転には使えますが、夜の車の運転には適していないですね?」


そうです。その他にも、注意しなければいけないことがあります。
『カラーが濃すぎると光量が減り暗くなるので昼間の運転にも支障が生じます。』
『色合いが異なって見えるカラーも濃度に関わらず運転には不適合になります。』

スタッフ「運転にはカラーの濃さだけでなく種類にも向き不向きがある事が分かりました。」

可視光線 波長ごとのカラー
450nm付近の拡大図
では各波長の透過率を見てみましょう。

約400〜780nmの波長が、人が感じることの出来る光(可視光線)です。光は紫から赤い色へ連続的に変化します。


スタッフ「人は波長の短い450nm付近は青色、530nm付近は緑色、波長の長い630nm付近の波長は赤色に認識しているわけですね。」

  
赤線のグラフは、波長ごとの透過率を表しています。
横方向が、波長の長さを、縦方向が透過率のパーセンテージを示しています。グラフが上に行くほど、その波長の光を多く通しています。

例えば、今回のレンズでは、波長が450nmの光(青色)を
約33%通しています。(約67%カットしています。)


スタッフ「全体的になだらかなグラフですね。あまり色調を変化させないのはこのためですか?」


そうです!気付いた様に、グレー70%は、透過率がなだらかなのが特徴的です。450nmから630nmの波長を平均的にカットしています

特定の色を多く通したり、カットしたりしていないため、色調を大きく変化させることなく、全体的に暗くする効果があります。オールラウンドで活躍するカラーと言えるでしょう。

スタッフ「グレー70%の特徴が具体的に理解できました!!」

グレー系カラーの特徴をもっと解りやすくするために、他のカラーと比較してみましょう!
何か測定したいカラーがありますか?


違う色のレンズも見てみよう!
ゴルフにオススメ!ブラウン系のカラーレンズ スタッフ「それなら!実は私、ゴルフを始めようと考えています!ゴルフのときに使用するサングラスとして、何かオススメのカラーがありますか?」

それならブラウン系のカラーを使ってみたらどうですか?
コントラストを高める効果があり、芝目も見えやすくなります。

では、早速、ブラウン70%全面染色のデータも見ましょう!
グレー70%と比べやすいように、同じ画面に青線で表示します。
分光透過率を比較するため、青色で表示するように設定 次の測定データを青色で表示するように変更したら、ブラウン70%のレンズをセットして、データを取りましょう!
ブラウン70%のレンズ 分光透過率計にセット! 分光透過率測定完了!
 画面に青線のデータが追加されました!!では、ブラウンとグレーの違いを見てみましょう。
青色のグラフがブラウン70% 赤色のグラフはグレー70%
 
分光透過率比較 スタッフ「同じ濃度70%のカラーでも、視感透過率(『Visible』)が違いますね!」
 
分光透過率比較ポイント 70%とは、あくまでカラーの濃度を示した数値になります。
「カラー濃度」と「光のカット率」は近い値になりますが、同じではありません。カラーの種類によって同じ濃度でも、光のカット率は変わってきます。

スタッフ「青色の光を通す量が違いますね(@の部分)。ブラウン70%の方が、目に刺激の強い青色の光を多くカットしています。そのため、眩しさやチラツキを抑える効果が高いということですか?」
 
そうです。それに、芝目の照り返しは、青色の光が多いと言われています。ブラウン70%のほうが、青色の光を多くカットするので、よりゴルフ向きと言えます。

Aの部分を見てください。
グレー70%と比べると、黄色から赤色の光を多く通しているので、物の輪郭がくっきりと見えます。
ボールの行方を追う時や、パターの芝目を見る時の見づらさを解消してくれます。
 
スタッフ「なるほど!ブラウン系カラーがゴルフ用にオススメな理由が解りました!」
 
グレー系カラーの方がグラフ線の波の差が少ないので、掛けた時に色調の変化が少なく、色調を保ったまま、眩しさを抑えることが出来ます。
 
スタッフ「物の輪郭をはっきり見たいときはブラウン系のカラー、色調をあまり変えたくない時はグレー系のカラーがオススメですね!実際に、グラフと数値で比べると違いが分かりやすいです!」
 
カラーレンズは、目との相性があります。
数値だけでなく、実際に掛けてみて見え方を体験することが重要です。

「神保町店」では、各種カラー見本、分光透過率計をご用意しています。レンズを、「見て」「さわって」「感じて」お選びいただけます。ぜひご利用下さい。


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